旅のはじまり。

トランジットのタイで、ダッカ行きの飛行機を朝から延々と待っている。

タイの空港はきれいな免税店が並び、広いフロアに冷房がよく効いている。いや効きすぎている。寒い。

ここだけ見ていると発展途上国だとはとても感じられない。

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国際協力に関わっているとよく目にする「支援」「途上国」という言葉に、私は違和感を抱いていた。

本当にその土地の人のためになっている「支援」なのか、「途上国」とはなにを目指している「途上」なのか。
その土地の人々を支えると言っておきながら、なんだか上から目線の言葉がどこか引っかかるのだ。

そんな中、私が出会ったのが
「ソーシャルビジネス」
だった。

ソーシャルビジネスと一言でいっても、様々な形がある。
基本的には、ビジネスという双方向的なやりとりの中で、何かに困っている当事者の助けになることができ、
ビジネスが起動に乗れば、彼らは独立する力を持つことができる。

この仕掛けは、私の考えていた一方的な「支援」とは違う…
先進国の後を追うだけのような道の「途上」ではなく、新しい道を進む手がかりかもしれない…

引っ掛かりが解けるような気がした。

そんなソーシャルビジネスが発展していることで今注目を集めている、 バングラデシュ に行ってみようと思った。

これがこのスタディーツアーを立ち上げたきっかけだった。

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今回、バングラデシュスタディーツアーでは、ソーシャルビジネスの発端であるグラミン銀行、そのマイクロファイナンス(貧困層にも借りやすい小口融資)を実施している村、伝統的な農法でビジネスをしている農村、フェアトレードの縫製工場などを見学することになっている。

様々なソーシャルビジネスの形を見て学ぶことで、新しい可能性や、いい面だけでなく悪い面にも気づけたらいいと思う。

そしてそのアウトプットとして、商品企画のプロジェクトを進めてきた。

プロダクトの生産者も購入者もみんなハッピーになれる、そんなバッグを作りたい。手軽に買えるようなものにすることで学生に、商品を通してソーシャルビジネスの考え方を広めたい。

バングラデシュで、私たちはどんなソーシャルビジネスの顔を見られるだろうか。

とても楽しみだ。

2012.09.03

【文責 若尾 真実】