地図

私は地図が好きだ。

私の母親も地図が好きで、我が家のトイレの壁には世界地図が貼ってある。これはもう既に5代目で、ナショナルジオグラフィック日本刊行20周年の付録地図だ。母と私、どこかへ出かけるときは、二人でその周辺の地図を事前に眺める。帰ってきてからは、二人で行った場所の地図をかこんで、ここはこうだった、あそこはああだったなど言い合う。そのおかげか、私は地図を読み取るのは割に得意だし、方向音痴でもない。

メキシコ、グアナファトの空気をすう前も、日本で「地球の歩き方」の地図を熟読したし、Google Mapでお散歩もした。だからなんとなくグアナファトを知ったつもりでいた。

日が傾きかけた午後、私はグアナファトのダウンタウンを見渡せるピピラの広場に立った。その時どれだけ息留め続けていたか分からない。目に飛び込んでくる景色で心がいっぱいで、呼吸も忘れていた。ただただ考えてもみなかった。町全体がこんなにも波打っていて、建物や教会、大学がせり出してくるように見えるなんて。

地図で知ったつもりの町は、こんなにもいきいきとしていなかった。

【文責:8期 高橋渉】