「こんにちは」

アッサラーム アライクム السلام عليكم
サラーム سلام

ヨルダンの街で飛び交うこれらの言葉、一言で言えば「こんにちは」である。しかしこれらの言葉の本当の意味を考えてみたい。

アッサラーム アライクム 「あなた方の上に平和がありますように」
サラーム 「平和」

こんなにも温かく優しい挨拶の言葉が中東では使われているのだ。

アラブ圏ではなく中東である。ユダヤ人の住むイスラエルで使われる「こんにちは」も

シャローム שלום 「平和」

なのだ。

しかしアラブとイスラエルにはパレスチナという土地をめぐる長く続く対立がある。この対立で多くの命が奪われ、また、イスラエルにより奪われたこの土地から数多くの難民が生まれているのだ。

僕はそんな世界に生きる現地の人々の声を聞きたかった。

ある時、ヨルダン人の現地コーディネーター、彼の友人、その友人の娘さんの話をじっくり聞ける機会があった。その際僕はパレスチナ問題を彼等に問うた。すると僕達よりも一世代上の2人は何かスイッチが入ったようにイスラエル、ユダヤ人に対する怒り、アラブの正統性を論じ始めた。さらには、彼等の間でも意見の違いで激しくもめる。2人共博識ある穏やかな方々だっただけに衝撃的であった。「仲良くすればイイ」で片付けられない、この問題の深さは想像を遥かに超えていた。そしてさらに、「平和は来ない。」現地コーディネーターはこうも言い切った。

「平和」という素晴らしい挨拶の言葉を持ちながら、それを諦めてしまっている。こんなにも悲しいことがあるだろうか。この深い問題のど真ん中にいる彼にこう言われてしまっては僕もそう思わざるを得ないのか。僕は絶望しかけた。

しかし、そんなことはなかった。
平和を求め、また歴史に縛られない若い世代の力強い声があったのだ。

席を同じくした娘さん、彼女は大学に通い熱心に勉強している。そんな彼女の頭の中にあるビジョンは父親世代とは全く逆の、非常に前向きなものであった。多くの難民を抱えるヨルダンに関して、「難民問題を解決し、彼等を救うためにも平和な世界を作りたい。」彼女はこうはっきりと語ったのだ。

さらにはアンマンで出会った地元の女子中学生達。ムスリムの女性はとても控えめであり、街にいても声をかけられることはまずない。そしてまた、身内以外の男性との関わり合いというものを極力避けるのが常である。しかし、そんな常識も変わりつつあるのかもしれない。彼女等は男の僕を連れて女子校に連れて行ってくれたのだ。「僕は男だけど大丈夫⁇」と言ったが「大丈夫、大丈夫。」と是非見て欲しいと言わんばかりの笑顔で学校を案内してくれた。こんな積極的なムスリムの女性は初めてだった。

僕は、古くからの型にはまらない、何か新しい力が動き出しているような気がしてならなかった。そう、決して平和を諦めず、全く新しい伝統へ向けて動き出す若い力を。

السلام عليكم

あなた方の上に平和がありますように

【文責:7期 野田一慶】

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えにし

首都アンマンからバスで4時間。

窓を開ければ、砂の混ざった風が吹き付ける。

 

日本とは違う風。

強くて、乾いてて、砂の多い景色によく似合う。

 

目の前に現れてきたのはワディラム砂漠。

今晩はここにテントを張る予定。

昼には赤い砂が太陽に照らされ、

夜には空一面に星が浮かぶ。

 

 

 

 

そんな土地で巡り合えた人。

 

 

動物を操り、衣装や茶を売りながら砂漠を行き来するベドウィンという民族。

車で訪問者を案内しながら、随所にある岩窟や遺跡、ワディラムの自然を守る男性。

 

私たちが出会った人は、皆それぞれの道の上で、それぞれの思いを抱えてた。

 

 

 

アンマンへと戻るバスで思ったこと。

 

 

生きる道が決まるのって、まるで縁に従っているみたいだ。

 

人の生き方はそれぞれで、

それこそ砂漠の空に浮かぶ星の数ほどあって、

その中で自分が行き着くものは一つであって。

 

 

縁あるものに引かれるように

いつしか自分の行き方を決めていく。

 

だから自分の選択が最高のものであるよう願わずにはいられない。

 

 

散々迷って一つを取って、

やっぱりあっちにすればよかったって思うのは嫌だ。

 

 

私もあの砂漠の民たちのように

あの選択が最高だったって、自分の生きる道を誇れる人になりたい。

 

 

 

砂漠の風が強く熱く、私の体を吹き抜けるようだった。

 

【文責:7期 浅野千咲】

Jordanism

「中東」

 

このワードを聞いてどんな言葉を思い浮かべるだろう。

 

「危ない」「怖い」「汚い」

 

ネガティブのオンパレード。

 

数日前までの自分はそうだった。

 

いま、ヨルダンの地。価値観は一新する。

 

美しい建物。アラビックで四角い建物。壁は石。

魅惑的な音楽。エキゾチックで魅惑的な音楽。とてもゆったり。

香しいかおり。独特な甘いかおり。心地いい。

広大な大地。無限を感じさせる大地。ただただ広い。

そして、陽気で親切な人々。たくさんの人が話しかけてくれた。

時折のゴミにも、なぜか愛着を感じてしまう。

 

ある男が言った。

“No difference”

「違いなどない」

キリスト教とイスラム教が混在する町、マダバにて。

あたたかい紅茶を僕らにふるまいながら。

男はキリスト教徒とイスラム教徒について言ったようだが、私には違う意味にも聞こえてしかたがない。

中東の人も僕らと同じ時を生きていた。違いなどない、一人の人間なのだ。

どれほどの人がこの事実を受け止め、生きているのだろうか。

 

荒野の空、一羽の白い鳩が飛んでいた。

この地への偏見の目がなくなるのを願うかのように。

 

 

いま、ヨルダンの地。価値観は一新した。

 

 

2014.08.29
【文責:7期 岡勇之介】