ヨルダンスタツアを終えて 4

今回ヨルダンで3泊4日のホームステイをした。17歳の息子を一人抱えた三人家族だった。

この家はシリアの中心都市ダマスカスの小さな町からヨルダンへ来たという。

でもヨルダンにいるのは自分たちだけで、親戚はドイツ、スイス、スウェーデン、レバノン、シリア、とバラバラ。

各地に散らばった家族の唯一の交流の場が電話であり、四六時中電話やテレビ電話をし、笑みや涙をこぼしていた。

「この子は自分たちのことを覚えていないの、画面越しでしか知らないの。」

これだけ可愛いがっているのに直接抱きしめてあげられない辛さ、その時に私は改めて難民たちの苦悩を感じた。

 

家賃とフードクーポンは支給されるが、電気代と水道代は自分たち払い。

ギリギリの生活を送っているとのことだったが、私には比較的余裕があるようにも見えた。

定職はないが、お母さんはアラビア語を個人的に教え、お父さんは近所の電気修理など、たまに行っているという。

 

日中はゴロゴロして、ご飯食べて、テレビ見て。

ごくごく普通の暮らしといえばそうだが、私には、何かやる事ないのかなあ、と思った。

その時に、ザータリの生きがいの話が思い出された。

「生きがい」がないからみんなキャンプから出て行く。やる事を探して。

都市に出たらスークやレストランやコーヒーショップなど、エンターテイメントに溢れている。

でも希望を持って外に出ても、職や学校がないとどうにもならないな、と思った。

 

イードの日、友達の家に行くよ!と言われて連れて行かれた。

何軒もの家を回り、同じシリア難民でも家の広さや生活環境、全く異なっていた。

でもどこへ行ってもその度にお茶やジュースを出してくれ、ウェルカムしてくれた。

シリア人は迫害を受ける、などといった事実も耳にしたことがあるが、見た限り自分のホームステイ先の男の子は友達も多く、学校も楽しく通っているように感じた。

 

シリア人は良い意味でプライドが高い。

誰と話してもシリアの昔の美しい写真を勝手に見せてきて、こんなに良いお家に住んで、オリーブの木があって、とシリアの自慢ばかりしてくる。

シリア人のSNSはアイラブシリア、シリア内戦に関わるもの、そのようなことばかり綴れている。

こんなに愛国心と家族愛が強い国民に私は出くわしたことがなかった。

最初、私はこの特徴がシリア人に特有のもの、シリア人すごい、と思っていた。

だが、もしかしたら自分が故郷を失い、家族とバラバラにあったとするならばこのように思うのかな、とも思った。

難民は守ってくれる人がいない、だからこそ家族だけが頼りであり、結束が必要となる。

 

いつもニコニコしていて、ジョークをかまして、のろけるお父さんは、たった3泊4日ではあったが、私の娘!と喜んでくれた。

とても可愛いお父さんだったが、誰もが心の傷を抱えていると考えると、距離が近くなれば近くなるほど胸が痛む。

故郷と引き裂かれ、知らない土地で一から何もかも始め、親戚にも会えない。

仕事もない。

昔の写真もほとんど焼けたという。

 

息をしているけど息をしていない。

これが難民の現状なんだな、と思った。

 

多くの笑顔と同時に多くの苦悩が垣間見えた。

難民を取り巻く苦悩と環境は私達が日本にいて想像できるようなものではない。

【文責:9期 秋山衿子】

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