僕は日本に行くのが夢です―――
カンボジアの日本語学校の生徒は、笑顔でそう話していた。
日本語学校に行って、大学に行って、日本へ行きたい、と。
彼らの熱意は凄い。
わずか二年間の勉強で、僕らと普通に会話できるレベルにいる。
今の自分の外国語のスキルと比べても、その努力はすさまじいものだと感じた。
それだけでない。
会話から、仕草から、彼らがいかに日本を知りたいかということが、ひしひしと伝わってくるのだ。
だが、それだけに残念なことがある。
カンボジアの物価が安すぎて、どれだけ働いても日本に来るためのお金を集めることができないのだ。
カンボジアの物価は、体感で五分の一以下。
ジーンズだって数百円で買える場所である。
大学に行くだけでも相当お金がかかるというのに、並大抵では日本に来ることができない。
上で日本に行きたいと言っていた人も、すでに二十後半だった。
これから、お金を溜めて大学に行って日本に来るということをまともに考えると、一体いつ実現できるかわからないのだ。
日本とカンボジアはそれだけ距離が離れてしまっているのだと、僕は向こうに行って初めて体感した。
向こうの人達が日本へ来れば、その熱意からいい影響を及ぼすかもしれないと考えれば考えるほど、この二か国の間の壁が邪魔をする。
国と国の間で一番重要な言語の壁がないだけに、この問題がいかに大きいかということがわかる。
文化の違う二か所をつなぐということが、一体どれだけ大変なのだろうか。
現地に行って支援をしている人々を尊敬すると同時に、一体どのようにすればこの壁を壊すことができるのかを考えさせてくれる旅となった。
2012.10.6
【文責:一年 鷲見光太郎】